【定義】「読み聞かせ」とは #1

読み聞かせの定義について、アイキャッチ画像です 考察・思考メモ

何かを論じる際、何よりも先にテーマについての定義づけから始めることが必須だと考えている私だが、今回は「読み聞かせ」の定義を確認しようと思う。
このブログでの「読み聞かせ」は、指定がない限り「絵本の読み聞かせ」を指すことを大前提とする(以下「読み聞かせ」で記載)

「読み聞かせ」とは

「読み聞かせ」とは、読み手が媒体である絵本を読み、それを聞き手が聞く一連の行為のことを指す。よくある例として、親が子どもに、保育者が子どもらに、図書館や学校にてボランティアが子どもへ、などが考えられる。
読み手と聞き手の間には、年齢差や立場の差があることがほとんどだが、もちろん差がなくても、読み聞かせは成立する。

それでは、いくつかのHPなど、読み聞かせについての定義に触れているものを確認する。

デジタル大辞泉より

よみ‐きかせ【読(み)聞かせ】
読み方:よみきかせ
1 本を読んで聞かせること。特に、幼児や低学年児童に対し、絵本や児童書などを音読して聞かせること。
2 ⇒読み聞け:検察官などが作成した供述調書(供述録取書)の内容を、供述した者に読んで聞かせること。

辞典・百科事典の検索サービス – Weblio辞書 国語辞典より検索https://www.weblio.jp/

デジタル大辞泉は、上のような記載がなされており、このブログで扱う内容としては1である。絵本だけでなく、児童書や他の本でも読み聞かせることは可能だ。

感覚的に言葉として、「(大人が)子どもに読んで聞かせる」という意味合いで使われることが多い。

絵本ナビ特設ページより

絵本の読み聞かせとは、読み手が本や物語を声に出して朗読し、聞き手はそれを聞くことで楽しみや学びを得るものです。「読み語り」「読み合い」とも言われ、本と子どもを結ぶ重要な手段とされています。 

絵本の読み聞かせを行うことで、言語の発達や読解力の向上、さらに想像力や共感力、集中力など、学習の基盤を築きさまざまな成長や発達を促すことができます。

親子のコミュニケーションツールとしてはもちろん、全国の図書館や学校、子育て支援センターや保育現場などでも盛んに取り入れられています。 

絵本ナビ:読み聞かせはいつから始める?効果やおすすめの絵本も解説(閲覧日:
2025/12/07)https://style.ehonnavi.net/ehon/2023/10/10_1024.html

絵本ナビ特設ページ「読み聞かせはいつから始める?効果やおすすめの絵本も解説」の記事では、読み聞かせは、本と子どもをつなぐ重要な役割を果たしている、と述べている。
このページでは読み聞かせの効果についてや、読み聞かせを始める年齢についてなども詳しく解説している。一度じっくり目を通しておきたい内容である。

宮城県図書館より

読み聞かせは読み手の一方的な活動ではありません。聞き手(子ども)は読み手の言葉の響きを体全体で聴き取りながら絵を見ることによって目の動きや息遣いなど、 体全体で多くのサインを出しているのです。絵本を読むことを仲立ちにしてコミュニケーションをはかり、 心を共有していくことが大切です。

宮城県図書館:読み聞かせについて(大人の方向け)(閲覧日:2025/12/07)https://www.library.pref.miyagi.jp/child/yomikikase.html

こちらのHPも、まず読み聞かせは子どもと本が出会う大切な時間であることを提示しつつ、読み聞かせが「読み手と聞き手のコミュニケーション」となる大切な時間であるという。
また、聞き手(子ども)が「言葉の響きを体全体で聴き取」っていると表現している。

以上の定義を踏まえて、読み聞かせについての内容をまとめてみると、

・読み聞かせは読み手と聞き手、絵本の三つで構成されている
・読み手は親、保育者、大人が多く、聞き手は子ども(特に幼児や低学年児童)が多い
・読み手が聞き手に絵本を見せながら読んで聞かせる行為を指す
・読み聞かせは聞き手(子ども)にとって本を読む入り口となる
・読み聞かせを通して、読み手と聞き手のコミュニケーションが促される
・聞き手が幼い場合は、読み手と聞き手で一対一の読み聞かせとなる
・聞き手の年齢が上がると、聞き手が複数人いて読み手が一人となる、集団での読み聞かせが想定される

大まかにこのようになる。

読み聞かせ研究における重要な2つのポイント

私が考えている、読み聞かせにおける重要なポイントは二つある。

読み聞かせに関する7つの変数

まず一つ目は、「読み聞かせ」を構成する要素である。

中江(1991)は、読み聞かせに関する7つの変数を明らかにしている。

図1、絵本の読み聞かせに関する変数より
①絵本に関する変数
②読み手に関する変数
③聞き手に関する変数
④絵本と読み手の両方にかかわる変数
⑤読み手と聞き手の両方にかかわる変数
⑥絵本と聞き手の両方にかかわる変数
⑦絵本・読み手・聞き手の三者にかかわる変数

中村 年江. 絵本の読み聞かせに関する心理学的研究–絵本の読み聞かせに関する変数と望ましい読み聞かせ条件の検討. 読書科学. 1991, 35巻4号, p.149-159

読み聞かせ研究において、これらの変数のどれかを動かし、他の変数をなるべく統一して調査を行う必要がある。
どれが何の変数に当たるのかも、研究前に吟味する必要があるといえる。

「読み聞かせ」がコミュニケーションであるという視点

二つ目は、「読み聞かせ」は、ただの「聞く」「読む」「見る」などの行為にとどまることなく、特異的なコミュニケーションに発展するものである、ということだ。

読み聞かせを行うとき、まず「絵本」、それを読む「読み手」、それらを聞く「聞き手」の三つの要素がある。「絵本」を読むことを媒体にして、「読み手」と「聞き手」の間では、「絵本」を読んでいる時だけのコミュニケーションが行われている、と考えられる。

「コミュニケーション」というが、実際にどういうことだろうか。
例えば、読み手の読みを聞いて、聞き手が安心する、指差しや発話を行う、読み手と聞き手が目を合わせる、絵本に沿った会話が成される。こういった例はイメージしやすい。

私がよくイメージするものの一つとして、
「聞き手(子ども)が寝る前に必ず読み手(親)が絵本を読む」
という行為も、コミュニケーションの一つになるだろう。
その場面では、おそらくただ儀式的に読むのではないと考えられる(親としては、子供にせがまれて…と思うかもしれないが)
眠たい中、子どもは絵本と親を頑張って見て目をこするが、それでも眠たくなる。きっとその子どもの様子を、親は見ながら読みつづける。読む声も少し疲れていたり、でも少しでも子どもが楽しめるよう、眠れるように工夫したりするかもしれない。それを聞きながら子どもが眠っていき…
これも立派な親子のコミュニケーションだと私は思っている。きっとそれは、その親子にしか出来ない、唯一無二のコミュニケーションであるだろう。

ここが読み聞かせ研究における、大変面白いところでもあるし、条件の統一が難しいため、頭を悩ませる部分でもある。

単に「文字を読む」や「絵を描く」「話す」など、評価基準や正解があるテストとは違い、読み聞かせには基準となる指標が少ない。
それに加えて、読み聞かせという行為を「いい」「悪い」など評価するのがかなり難しい。

先ほどにも述べたとおり、読み聞かせというのはただの「音読」ではなく、読み手と聞き手のコミュニケーションであることが必要である。そのため、声が明瞭で聞きやすいから良いとか、聞き手が楽しんでいるからいい、などの基準を決めるのがかなりむずかしい。また、絵本を変えたり、時間を変えたり、はたまた読み手の熟練度合い、聞き手の年齢や本に対する意欲など、変数の統一が意外と難しい。
卒論では自分の所属科の大学生対象に読み聞かせを行った。その際読み手は私が行ったがそれが適切だったのか、集団の読み聞かせを行ったが環境が適切だったのか、所属科でとりあえず行ったが対象を広げるべきだったのではとか、はちゃめちゃに悩んだ記憶がある。

また、図書館ボランティアさんや保育士さんを読み手とする場合と、親を読み手とする場合でも、かなり捉え方が変わってくるように思う。
私が今後行いたい研究としては、親を読み手とし、子を聞き手とする読み聞かせ場面であるが、果たしてできるのか…

この記事を書いているうちに、色々頭の中で考えているので、またブログにしたためることにする。

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