永遠の議題をなるべくわかりやすく解説してみる
絵本を専門にしてます、読み聞かせやってます、というと、必ず聞かれる十八番のような質問がいくつかあるのだが、
「子どもにどんな絵本を選ぶといいのか?」
「読み聞かせではどういう基準で絵本を選んでいるのですか」
という質問を受ける。
大まかに絵本の選書についてである。
子どもの親御さんも先生も保育士さんもボランティアさんも、きっと皆さん「子どもによりよい絵本を選んであげたい!」と意気込んで聞いてくださるのだと思う。
すごくいいことだし、そういう向上心がある方は、私もいつもすごいな、と素直に感心する。
…だが、私はこの手の質問にうまく答えられた試しがない(聞いてくれる人にいつも申し訳ないと思っている)
ここについては、一概に「これがいい!」という発言ができないので、いくつか選書を考えるときの軸をまとめてみようと思う。
なお、少しとっちらかるので、選ぶ前提条件を統一したい。
大人から子供に送るという想定で
- 絵本を借りるとき
- 自分の子・親戚や知人の子どもにプレゼントするとき
など、ゆるっとまとめてみようと思う。
全体に共通する考え方
聞き手の年齢やプロフィールから考える
絵本を読む人がどんな年齢層なのか、読み聞かせなら聞き手の層が決まっている場合は、聞き手の好みを配慮して選書するのが一番わかりやすい。
今までどんな絵本を読んでいるのか、その子がどんなものにハマっているのか、というのは、大事なプロフィールの一つだ。友人のお子さんなどにプレゼントしたい時は、何気なく「いつもどんな読んでるの?」と探りをいれることも大事だ。
近年の絵本では、作者や出版社が「この絵本は〇歳向け」と基準を設けていることが多い。近年、各自治体で、年齢別絵本の選び方のパンフレットを配布しているところもある。
本屋で無料配布しているものがあるので、絵本をあまり読まない人は、素直に目を通して参考にしてみるとよいだろう。
話の長さや内容のバランスを考える
絵本を複数冊用意するときにできる考え方の一つだが、一冊ずつの長さではなく、全体を通した時にバランスや緩急がつけやすい選書がおすすめだ。
例えば、どんなに聞き手の年齢層が高くても、15~20分かかる本を三冊連続…というと、大人でも集中するのは少し疲れるだろう(めちゃくちゃ本を好きな人なら別だろうが)
私の体感だと、未就学児なら、長く集中できて2~3冊、もしくは15分以内くらいが目安になると思う。集中が持たない子は、1冊読めれば十分だろう。
また、話の長さはバラバラでも、すべての絵本で同じ内容に寄ってあると、続けて聞くのは少し退屈かもしれない。
最初から終わりを通して、1冊ごとの長さと内容が偏らない選書をするとよいだろう。
聞き手が絵本を目にするであろうタイミングから考える
読み聞かせする時間があらかじめ決まっているのであれば、その時間に適した長さのものを持っていくのがわかりやすいだろう。
14時から15分間、であればその時間に収まる長さや冊数の絵本に絞られる。
対象児・聞き手が決まっているのであれば(親子、赤ちゃん、小学生、様々だろう)そこから考えることができる。
また、イベントのプログラム中で読む、であれば、会の趣旨等を理解した上で選書することも必要だ。図書館の読み聞かせだけでなく、お楽しみ会などで1冊本を読むプログラムにしている、等の場合は、その会に沿った楽しい内容、プログラムがどのタイミングで挟まれるのか把握した上で選ぶのがいいだろう。
お楽しみ会の序盤に読むのであれば、楽しくわくわくし、且つその後のプログラムに向かって気持ちを高めるような内容が良い。ゲーム内容が決まっているのであれば、それに関連する内容の絵本を選ぶといいだろう。
個人的におすすめしたいのは、できれば当日持っていく前に、一度第三者に見てもらうことだ。主催側の人に何人か見てもらったり、練習がてら聞いてもらうことだ。他者に見てもらうことで、自分では気づかない視点に気づくことができる。楽しい内容の絵本を持って行っても、参加している子に好ましくない内容の時、それを未然に防ぐことができる。
実際会うことができない場合にも、絵本のタイトル、作者などをまとめて、メールなので「これを読む予定です」と送るのが望ましい。
会の趣旨に加え、読む当日の季節感や行事などをエッセンスとして加えるのもおすすめだ。
クリスマスだったら、サンタが出る本や贈り物の絵本。ハロウィンならおばけやカボチャの絵本、夏に行うならかき氷やアイスの絵本…といった具合だ。
具体的に「春」「夏」「クリスマス」などの単語が出てこなくても、関連する概念が出てくると、会の統一感も相まってグットな選書になる。
「子どものためにまとめて絵本を借りる」という親御さんへ
親御さんが子どものために、図書館や保育園でまとめて十数冊借りる、という方から、
「いつもまとめて借りるんだけど、何を選んだらいいかわからなくて…」
と聞かれることがあった。
親御さんとしてはいろいろな絵本を選びたいが…できれば子どもにとって身になる絵本を…という心配・やさしさのあふれる質問であった。
私が思うのは、無理に知らない絵本を選ぶ必要はないと思う。
先ほど上に述べた注意点をまとめつつ、このケースで加えて選ぶ基準をプラスするとすれば、
「自分が子どもの時好きだった絵本」
「子どもの時教科書で読んだ・どこかで読んだ思い出の絵本」
をチョイスするのがおすすめである。
古い本がいい、という意味ではなく。
子どもにとって、親御さんが昔読んだ本、それだけでわくわくして、読むに値する。それに、親子で読んだら、その本について話題を共有することができるので、二重でどちらにとっても素敵な思い出になるのだ。
親御さんも、絵本を手に取ることにぜひ気負わないでもらいたいと思う。
友人・親戚の子どもへ絵本をプレゼントするとき
年齢が上がってくると、友人らに子供が生まれるときに
「絵本をプレゼントしてもいいかも」
と思うタイミングがあるかと思う。
私も先日友人に子どもが生まれたので、その際は
- 「ぞうくんのさんぽ」作・絵:なかの ひろたか レタリング:なかの まさたか(福音館書店)
- 「ここからおいしいよかんがするよ」作:たな (パイ インターナショナル)
- 「バムとケロのおかいもの」作:島田 ゆか(文溪堂)
- 「きんぎょがにげた」作:五味太郎(福音館書店)
こちらの四冊を送った。
では、贈り物についてちょっとしたコツなのだが、おそらくこのブログを読んでくださる方々は、皆ある程度絵本に明るかったり、関心を持ってくださっていると思う。
そのため、その知識を生かして、
「いい絵本だけどメジャーだけど少し控えめな選書」
をおすすめしている。
特に「はらぺこあおむし」「ぐりとぐら」「じゃあじゃあびりびり」「いないいないばぁ」など王道を突き抜ける絵本は、おそらく保育園幼稚園で必ず読むし、親やおじいちゃんおばあちゃまなど近い関係性の人が購入する確率が高いので…。
感覚的だが、そういう風に選ぶとよいだろう。
まとめ:絵本の選書はいろんな観点からすべし
絵本の選書というのは、簡単なようで奥が深い。
- 聞き手の年齢やプロフィールから推測する
- 読み聞かせの場面から考える
- 読み聞かせをする時期や時間帯から考える
- 絵本一冊の読む時間から考える
など、様々な視点から、ベストな絵本を選んでもらえるとうれしい。
ぜひこの記事が、誰かの参考になりますように。

